現在私は相模原署の警察協力歯科医を拝命しております。今回全国規模で行われる警察協力歯科医の学会にウェブで参加をいたしました。本来であれば鹿児島で行われ、実際に歯牙鑑定に携わる警察官の方や我々歯科医の仲間との情報交換などが有意義に行われる学会のはずなのですが、コロナ禍の現状を考慮し今回はウェブでの開催となりました。神奈川県警は身元不明のご遺体が発見された場合の歯牙鑑定においては、自他共に認める日本一の症例数を誇ります。身元不明のご遺体が発見された時、まず行われるのがDNA鑑定ですが、DNA鑑定は1回のコストが100,000円ほどと高価なものでなかなか全症例に行うというわけにはいきません。指紋の鑑定も皆様よくご存知だと思いますが、指紋があらかじめ警察に登録されている方ではないとそれが不可能なため、犯罪歴がない方に関しては(ほとんどの方がそうだと思います)指紋の鑑定はなかなか困難です。そうなると迅速にかつ簡便に行えるのが歯牙鑑定です。ほとんどの方は歯科医院の受診歴があるので、カルテを照合すれば何らかの手がかりが得られる場合がほんとに多いです。私も相模原署から一年に数回身元不明のご遺体の鑑定を依頼されることがあります。何とか身元を特定して差し上げて待ってらっしゃるご家族のもとに返してあげたい一心で、厳粛な気持ちで歯牙鑑定を行っております。これからも、日々努力を怠らず研鑽に励んでいきたいと思っております。特に今回の学会のテーマは予想外の大規模災害に備えてと言うことです。東日本大震災から10年を迎えました。このところ震災の余震と思われる比較的大きな地震が数回発生しているのも事実です。近い将来大規模災害が起こるとも限りません。我々歯科医も常にそれに備えて準備をしておくことも本当に大事だなと思っております。