このたび、 令和元年度7月より相模原署警察協力歯科医を拝命し、昨日1日に休診させていただき研修会に参加してきました。協力歯科医と言うには身元不明のご遺体等が発見されたときにその身元を特定しご遺族のもとに返してさしあるげると言う重大な任務を背負っています。身元不明のご遺体が発見された時に行う鑑定として3つの大きな柱があります。指紋鑑定、DNA鑑定、そして歯牙鑑定です。指紋鑑定は、あらかじめ前科前歴があって警察署に指紋を採取されたことがある方であれば記録が残ってますが、なかなか皆さんそうではないので、ましてや損傷の激しいご遺体があれば指紋の採取を行うことはできません。 DNA鑑定は、本当に確率の高い信憑性の高いものでありますが、行うには大学等の専門機関に依頼しなければならず、 1回やはり100,000円ほどの費用がかかるそうです。公費負担になりますのでなかなか国からの許可が下りず、今一手に引き受けているのは警察署の科学捜査研究室(科捜研、テレビでお馴染みですね) だけだそうです。ただ科捜研は未解決事件等の着手が優勢になってしまいご遺体の特定のためのDNA鑑定はどうしても後回しになってしまい半年位かかってしまうこともあるそうです。そうなると、歯牙鑑定です。歯の鑑定は迅速に行われ、生前のカルテが残っている人がほとんどですので、とても正確です。神奈川県警では全国の中でも歯牙鑑定を行う割合の高い警察署として全国から表彰されたこともあるそうです。 16,000人の被害が出た東日本大震災の時に現地で鑑定を行った歯科医は延べ3000人だそうです。それの10倍以上の被害が予測される東海トラフの大地震には一体何人の歯科医師の動員が必要なのでしょうか?単に10倍と考えても、今日本で第一線で働いている歯科医師ほとんどが必要ということになります。昨日は皆受講生の先生方も熱心に耳を傾けその真剣な表情に私もその職責を十分に自覚しました。今後研鑽に努めてまいる所存です。